好きが分からない
 ~私の「好き」は、親の「好き」~

あなたはご自身の「好き」が分かりますか?

こんな色が好き。
こんな食べ物が好き。

そして、
こんな人が好き。

この人が好き。

 

好きって自然に湧いてくる感情……と思いきや、
「好き」って何なの? とお困りの方は、実は多いようです。

恋愛感情の何たるかが分からず、どうしたら「好き」が分かるの? と思ってみたり、
恋人と呼べる相手はいるものの、本当に「好き」なのかな? と疑ってみたり。

自分の感覚に自信が持てないし、そもそもその感覚を感じ取るアンテナがどうやら壊れているらしい……。

そんな風に感じています。

一体どうしてこんなことが起こってしまうのでしょうか。

あなたの感覚をありのまま受けとめてもらっていない

突然ですが、幼い子どもの情緒が育つために必要なことって何か、ご存知ですか?

それは応答共感なんです。

例えば子どもが何か美味しいものを口にしたとき。
「ん!」と嬉しそうな顔をしたところにすかさず、「おいしいね~」と言って大人(特に親)が反応し、共感してあげると、子どもはその心地よい感覚が「おいしい」ということだと認識するのですね。

自分の中に湧き出た感覚に、誰かが寄り添ってくれて、それをそのまま尊重してくれる。
そうしてもらうことで、子どもは情緒の脳を発達させて感覚・感情を学んでいくのです。

だからもし、子どもの頃にそんな応答と共感が不足していたら?

そんな子が成長したときに、身体だけが大きくなって心で感じる力が育っていなくても、それは当たり前と言えるのです。

子どものころに受け止めてもらえていたかどうか、というのは、その後に長く影響を与える、とても大きなことなのですね。

そして感覚というのは「快」だけではないですよね。「不快」な感覚があります。
その感覚を感じたとき、子どもは泣いたりわめいたりします。そのとき、もしも誰よりも分かってほしい親に冷たい視線を向けられたら?

子どもはやがて、その「不快」を出してはいけないと学習します。だから「不快」を感じないようにしていきます。親を困らせないようにしていきます。

そして反対に親を喜ばせようとします。
親の「快」の感覚がいつ起こるかを観察し、その「快」の感覚のきっかけを多く作ろうとします。
それはつまり親の感覚を自分にインストールする、ということ。

自分の感覚を無視して、親の感覚で物事を判断するようになるのです。

親の目を気にしてしまう

ここでひとつ、昔の私のエピソードをご紹介しましょう。

当時、私には好きな男の子がいたんです。まだまだ「付き合う」という状態など程遠い子どもの頃の話で、絶賛片思い中(であることに満足していた(笑))相手だったのですが……私にとってひとつ大きな問題が、彼にはあったのです。

それは、彼が眼鏡を掛けていること。

それの何が問題? と思われますよね。そうだと思います。でも私にとっては大問題。なぜならば……

母が眼鏡を掛けている人が嫌い、だったからなのです。

今や母はそんなことを一言も口にしなくなったので、当時なぜそれを頻繁に言っていたのか分からないのですが、あまりにもよく聞く言葉だったため、私にはしっかりその言葉が刷り込まれていたのです。

眼鏡を掛けている彼。
眼鏡が嫌いと言っている母。

母はきっと彼を見たとき
眼鏡を掛けていて嫌だな、と思うだろう。

そうしたら……

私はどうする?

 

そんな風に考えて、そのとき私が思ったのは
「彼のことは、やめておいたほうがいいのかな」でした。

自分が好きなら好きでいいのに
母親が気に入らないなら
好きじゃないことにしてしまおう

当時の私にはそんな思考回路があったのでしょう。

まさに親の好き嫌いの感覚で、自分の感覚を選び取っていたのです。

これと同じことをあなたはしていないでしょうか。

あなたの「好き」を大事にしていい

親が気に入らないだろうから、友達におかしいと思われるだろうから、などなど、●●を気にして、自分の感覚を抑えてしまう。

その理由は何かといえば、そうやって周りに否定されないようにしていれば居場所がある(と思っている)からなのですね。

特に家庭、学校という狭い世界で生きている子どもにとって、そこで居場所を失うことは何よりも怖いことです。だから、自分の感覚がそのまま受け止めてもらえないと感じる場所では、自分の感覚を抑えることしかできないのです。

そしてそれが癖となり、もはや「好き」がわからない。そんな状態になってしまいます。
時には「好き」を頭で考えだすのですが、それが過去取り込んだ”親の「好き」”であったりもするのです。

そんなあやふやな「好き」で選んでしまったら、いずれ何かのトラブルが起きたとき、その「好き」を維持していくことができず破綻します。恋人や夫婦関係だけではありません。友人関係もそうですし、仕事だってそうなんですね。

「好きを仕事にしよう」と昨今とくに言われますが、そもそも「好き」が分からない、という人は多いのです。そして分かっているつもりでも本当の「好き」でないという人も。

自分の本当の「好き」を見つけるには、とことん自分と向き合うしかありません。
なぜ自分は「好き」という感覚を抑えることになったのか?
そうしていればどんな良いことがあったのか?

そこに向き合えたとき、少しずつあなたの「好き」が心の奥から湧いてくるようになります。

その「好き」を大切に育てていくこと。
あなたの「好き」はたとえ誰かと違うものであっても、大事にされていいものなのです。

そしてそれを大事にするのは誰よりもまずあなた。

あなたが諦めずに、自分自身と向き合っていけば、あなたも必ず自分の「好き」を取り戻せますよ!

 

※好きが分からない、自分が分からない。そんな人は共依存かもしれません。
こころの知識【共依存】も参考になさってくださいね。