初対面の「あ、こんな感じの人なんだ」は、なぜ起きる?

初対面の場にて、「あ、この人、こんな感じの人なんだ……」と軽く衝撃を受けた経験、あなたにはありませんか?

特に殊更意識してイメージを作っていたわけではないのだけれど、実際に目にしたときに違和感を感じて、そこで初めて自分の中に既にイメージが出来上がっていたことに気づくことがあります。

今日はそんなメカニズムについてお話していきます。

イメージと違う、と思うとき

例えば、取引先の相手。
いつもはメールでの問い合わせや電話での確認のみだけだったのが、いよいよ打ち合わせで直接顔を合わせることに。会議室に姿を見せたその人の様子は……

思っていたより細身でスタイリッシュでキリっとしていた人だった。
(もっと小柄でほんわかしている人をイメージしてたんだけど)


例えば、SNSで友達の友達になっている人。
友達がタグ付けされている投稿を頻繁に見て、いつの間にやらすっかり顔見知りになっていると思っていたけど、今日が初対面……

想定外にふんわりしたロングスカートが似合う落ち着いた女性らしい人だった。
(パンツのよく似合うボーイッシュな感じなのかと思っていたんだけど)


こんな感じの似たような場面、あなたにもあったのじゃないかと思います。テレビでよく見る芸能人を実際見たら小さかった、なんて話もよく聞きますよね。

私たちは直接その相手を目にしていなくても、「こんな感じの人」というのを無意識の中で作り上げているものです。そのイメージの元になっているのは、メールやSNSの文章などで見る言葉遣いや言い回し、アップしているプロフィールや日常の写真のイメージ、電話口の声のトーンといったもの。

それらの情報に触れていると、いつの間にか自分でも気づかないうちに相手のイメージが築かれていきます。それは指名手配犯のモンタージュを作るようなものではなく、ざっくりとした雰囲気のようなもの。ぼんやりとしたイメージです。知らず知らずのうちに出来上がるので、意識を向けてみない限りは言語化されません。

けれどそのイメージはしっかり作り上げているのです。だから実際の相手と顔を合わせたときに「あ、この人はこんな感じなんだ」と違和感を持ってしまう瞬間が時にやってくるのですよね。

非言語のサインは強い影響力を持つ

あなたも聞いたことがあると思います。人が相手から受ける印象を左右するものは、言葉そのものではなく、身振り手振りや顔の表情といった非言語のサインがその大半であると。

意味ある言葉として理解したものではなく、明確に意識せずにただ感じているものから多くの情報を受け取っているということです。

そして、そうやって受け取った情報を知らず知らずに自分の中にデータベース化していき、自分なりに体系づけて脳の中で整理しているのですね。

そこに新しい刺激、つまり今回で言えば仕事上の相手と初めてやりとりするメールなどの刺激を受け取ると、その刺激と似たものをデータベースから拾ってきて、そこに付随するものと共に組み立てていき、「こんな感じだろう」というのを意識しない間に作っています。

触れる情報が増えれば増えるほど、そのイメージは精緻なものになっていきますよね。

けれど、それがどんなに精緻なものになっていようとも、本物の相手とは違います
あくまで自分がそれまで得てきた情報を積み重ねた結果の上に作られているものですから。

そう、本物の相手とは違う、というのが事実です。
けれどそのイメージを、本物の相手そのものであるかのように脳内で認識してしまうのです。

これが「投影」という仕組みです。そのイメージは自分の中のデータを元に作っている仮の姿でしかないのに、そのイメージを映画館のスクリーンに映すかのように相手に当てはめて、そのイメージを基本にしてコミュニケーションをしようとします。

予測するのは必要な能力だけど

私たちはそれまで生きてきた経験からある程度の予測を立てるもの。それによってトラブルなく過ごすことができることも多く、その予測能力は必要不可欠なものです。
人に投影するイメージもまた同じこと。

けれど、そもそもその人生経験が偏っていたらどうでしょうか?

そう、予測もまた偏っていきますよね。

でもそれは致し方のないことです。世の中のすべてを網羅するような経験を人は一生の中ですることなどできません。それに仮にそれが経験できたとしても、人はその経験の中から必要な情報を取捨選択しているのです。すべてを同一に認識する処理能力は人間にはありません。

私たちはどうやってもそんな偏った予測を持つことしかできないのです。
だから誤ったイメージを相手に当てはめてしまうことも仕方のないこと。

だからこそ私たちは自分がそんな偏った予測を持っていることを知っていないといけないし、
本物と接したときに違和感が出たのなら、意識的にそれを修正する意図を持たないといけない
のです。

そうやって修正を積み重ねていくことで、相手をありのままに見れるようになる。

ですが……、その修正がしたくても出来ない、という状況が起こり得ます。

脳内データベースの修正ができない理由

それはどんなときかというと、その予測を立てたデータベースの中の情報が、恐怖に結び付いているときです。

例えば分かりやすい例を使えば、色黒で大柄な父親に大きな声で怒鳴られ手を上げられていた経験を持っていたとすれば、色黒で大柄で、さらに大きな声を出す男性は、自分に危害を与える人だ、という形で脳内で体系づけられてしまうのです。

もしも相手が大きな声でガハハハッと笑う、色黒の顔をくしゃくしゃにしていつでもニコニコしている好人物であったとしても、「もしかしたら次の瞬間には手を上げてくるかもしれない」という恐怖感は簡単には拭えません。

いくら頭で「そんなことをこの人はしない」と繰り返したところで、脳内のデータベースは変わってくれないのです。そしてデータベースが変わらないから投影するイメージもまた変わりません。

投影する都度、「そうじゃない、そうじゃない」と否定することはできますが、そんなことを続けていたら疲れてしまいますよね。疲れるから、ついつい距離を開けようとしてしまいます。そうして事なきを得るようですが、その相手との関係性はそれ以上発展はしません。自分の世界を広げる可能性をどんどん閉ざしてしまうようなものです。

だから頭の中で浮かぶイメージを一生懸命に変えようと努力するのではなく、
そのイメージを生み出す元になっている恐怖を解放してあげることが大事なんです。

根っこが変われば、生み出されるイメージも変わっていきますから。
そうしたら自分を取り巻く世界も変わっていくんですよ!

その妄想で、損をしていないですか?

初めて対面したときの「あ、この人、こんな感じの人なんだ……」に関連する、身長や顔の形など”見た目”そのものについてはすぐに修正を掛けることができます。
160センチ程度の人だと想像していたのに、180センチもあったとしたら、すぐに修正しないと次に会ったときに待ち合わせ場所で目の前をスルーしかねないですよね。

でも中身はどうでしょうか。そもそもすぐに相手のリアルな姿を把握することも難しいですが、自分自身がどんなイメージを持っているかも把握していないものです。

投影というものは相手と適切にコミュニケーションを取り始めるために予測を持つには良いメカニズムなのですが、どんなに相手とリアルに接しても相手のありのままに修正されないのであれば、コミュニケーションを阻害し真実を覆い隠す妄想になってしまいます。

その妄想があると本来もっと仲良くできるはずの人、分かり合えるはずの人、もしかしたら運命の人との関係性を深めることなど出来ようはずもありません。

あなたにはそんな妄想はないですか?

まずは意識的にそんな妄想に気付くこと。
そしてそれは適切な対応をすれば変えていけると知ること。

あなたが本気でその妄想を変えたいと願うなら、必ずそれは叶えられます。
ありのままの相手とつながることが出来るようになるのです。