困ったちゃんな相手にどう向き合うか

あなたの身近に困ったちゃんはいませんか? ……きっと「一度も出逢わなかった」という方のほうが少ないのではないかと思います。

今回は最近読んだ本のエピソードから人間関係のトラブルにおいて「こういう風にしたらいいよ」という知識は大事なものだけれど、
 相手を知り、そして自分のことも知らなければ、その知識はうまく使えない
ということを改めて感じたので、そのことを書いていきたいと思います。

取り上げた本はビジネスシーンでのトラブルですが、もちろんビジネスだけに限らないので、ご自身の身近な困ったちゃんに同じような方がいたら、参考にしていただければと思います。

無能だけどオレ様

先日こちらの本を読みました。

すぐ「決めつける」バカ、 まず「受けとめる」知的な人
安達裕哉(著)日本実業出版社

その中に書かれていたこの一章。

タイトル:仕事ができないのに、プライドだけは高い社員をどう扱ったらよいか。

うーん、なかなか刺激的なタイトルです……。確かにね、いますよね、こういうタイプの人。どう考えても基本的なレベルで仕事ができていないのに、自分のミスには言い訳をしたり、嘘をついたり。私にはこっちの仕事がふさわしい!と、よりスキルが必要とされる仕事を要求したり。

身の程を知れ!と言いたくなってしまうような相手は、心理学的に見てみれば「自己愛性パーソナリティ」に分類されるような人です。

一言でいえば「オレ様」「女王様」という振る舞いの方ですね。

そんな人への対処法として「厳しく、冷たく」という方針を取ることで成果を上げた会社がある、と冒頭の本には書いてあります。

「結局、彼らは一度も冷たくされたことがないんですよ。おそらく今までは誰かが常に助けてくれたんでしょう。甘ったれてるんです。そういう人をこちらから助けちゃダメなんですよ。だから私は絶対に甘やかさない、とことん冷たくして、チャレンジしたいという人だけ向き合います」

引用:すぐ「決めつける」バカ、 まず「受けとめる」知的な人 安達裕哉(著)日本実業出版社

とある会社のマネジャーの言葉だそうですが……。

確かに一理あります。
自己愛が強い人というのは幼いころから過保護に育てられてなんでも思い通りだった人が多い、とは言われます。

ただ自己愛の強さはその分、強い自己否定感が裏に隠されていますので、単純に「厳しく、冷たく」すればいい、 というわけではないように私は思います。

困ったちゃんは子どもではない

自己否定が強いとはつまり「厳しく、冷たく」他者から自分を否定されたら、簡単にポキッと折れてしまう可能性があるということです。

成果を上げたケースではおそらく
「相手を自分と対等な一人前の大人として扱う」
ということが出来ていたのではないかと思います。

一人前の大人として扱い、会社員として何が必要とされるのかを論理的に示し、それが足りていないことを客観的事実で提示する。
このままでいるとどうなるかを伝え、自分はどうしたいかを考えさせる。

自己愛が強いということは精神的に子どものままでいる部分があるので、一人前の大人として扱われたとき、本人の中では何かしらカルチャーショックとでもいうような、そんな気づきが生まれるのではないかと、私はそのように思います。

だから言ってみれば、けっして「厳しく、冷たく」ではなくて大人なら当たり前のことだったりするんですよね。客観的に見れば。

とはいえ本人としては文字通り「厳しく、冷たい」と感じることでしょう。そしてそれをきっかけに奮起することができる人もいることでしょう。

でも一方で、それをきっかけに自己否定感が噴出してしまう人もいることかと思います。
そんな方には心理セラピーを強力にお勧めします。

その自己否定感には理由があるので、その理由を知ることによって、自分はどうしていくかを前向きに考えられるようになります。

厳しく言うなんて出来ない、という人は

さて、そんな感じで「仕事ができないのに、プライドだけは高い社員」に対応できると知ったところで、「いや、やっぱり本人に向かって “厳しく、冷たく”をやるのは自分にはできないよ……」という気持ちになってしまう人たちもいることでしょう。

相手に対して「厳しく、冷たく」が出来ない人は一体何を想像しているかと言えば……

そう、それをしてしまったら相手が傷つくに違いない、ということなんですね。
そしてそれをもう一歩進めると

傷ついた相手を見たら自分も傷つくというところに行き着きます。

そうやって自分が傷つくことを避けるために相手に対して何も言えない、という事態が起こってしまうのです。

先に書きました通り「厳しく、冷たく」というのは「相手を自分と対等な一人前の大人として扱う」ということだと私は解釈しています。だから確かにどこか子どもっぽいところを残した人にとってみれば、そう扱われることが傷つきを生む結果にもなり得ます。

ですが、目の前にいるのは「いい大人」なのですから「いい大人」にふさわしい対応を取るのは本来の姿であるわけです。

その本来の姿で接して相手が傷つくなら、それは相手の問題なのです。

相手の問題を引き受けてしまう理由

だけど、相手が傷つくのがいやだから「相手を一人前の大人として扱わない」というのは、相手を気遣っているようでいて、実は相手の力を低く見積もっている失礼な行為なんですよね。

でもそこまで言われてもやっぱり「相手が傷つくのを見るのは嫌!」という方は、

めでたく……

共依存(それもかなりの強度の)認定です!!

パンパカパーン!  おめでとう!!

……はい、全然嬉しくない認定ですが。

同じ会社の社員として相手を対等な大人として見ず、保護を与えないといけない人間だとみる。そして可哀想な人は助けないといけない。
これは共依存の人の哀しく切ない習性です。

でもこの対応はけっして相手にとって幸せな未来を導かない。

相手を子どものように扱った結果、その人はそのまま自分の何が悪いかも気づかず、無邪気に人を傷つけ、そうして人に疎まれる。そんな人を腫れものに触るように扱い、起こるトラブルを我が事のように引き受け、不満を抱えながらも助け続ける。

そんなのおかしいとは思いませんか?
共依存とは「相手も不幸、自分も不幸」な関係性なんですね。

ここぞとばかりに上に立つ

こんなパターンもあります。

「仕事ができないのに、プライドだけは高い社員」には「厳しく、冷たく」対処すればいい、と言われて「よし、私が思っていたとおりでいいんだ!厳しく、冷たくしていいんだ!」と、あたかも免罪符をもらったかのように、ここぞとばかりに相手に厳しく冷たくしてしまう人も中にはいることでしょう。

「厳しく、冷たく」対処すればいい、と言われて「厳しく、冷たく」することの何が悪い、というところでしょうが、そのような人は大事なポイントを忘れています。

「相手を自分と対等な一人前の大人として扱う」ということ。

確かに「オレ様」「女王様」な相手に振り回されて、嫌な思いをすることはいくらでもあると思うのです。だからといって、その仕返しのように「厳しく、冷たく」するというのは、それこそ大人の振る舞いなのでしょうか。

実は、ここぞとばかりに相手に厳しく冷たくしてしまう人というのも、共依存体質です。

先に述べた「厳しく、冷たくなんてできない……」と思う人との違いは何かといえば、言うなれば先の人はカウンセラータイプの共依存で、ここぞとばかりにやってしまう人は「私に任せておいて!私がやる!」という親分肌、姉御肌タイプの共依存

親分・姉御がやりがちなこと

親分肌、姉御肌タイプの共依存はとてもパワフルなので、相手に寄り添うだけではなく、相手の問題を肩代わりして解決してあげようとします。

もしも「私には何もできない。代わりにやって」という根っからの甘えタイプが相手であれば、従順なその相手に親分肌、姉御肌タイプの共依存は手厚い保護を与えます。けれど、「オレ様」「女王様」な人はそんな風に誰かの下には入らないのですね。

そうなると親分肌、姉御肌タイプの共依存はどうなるかというと……

「私が我慢してあなたの面倒を見てあげると言っているのに、一体何なの!!」という怒りが腹の中で渦巻いてしまうのです。とはいえ、それを表に出すことはしません。

共依存の人とは基本的にいい人なので、腹の中で怒りがたぎっていても、それを見せずににっこり笑っています。けれどそこに「厳しく、冷たく対処すればいい」という許可が下りれば、ここぞとばかりにその怒りを噴出させてしまうのですね。そうなるとどうなるかと言えば、相手が屈服するまでやりこめようとしてしまいます。

自己愛の人はその裏に強い自己否定感を抱えていると最初にお伝えしました。そんな人を屈服するまでやりこめたら……再起不能に陥ってしまう可能性があります。

そうしてしまったらいつまでも心に苦いものが残りますよね。
またしても「相手も不幸、自分も不幸」です。

相手を知る以上に大切なのは

さて、ビジネスの場面で出逢う「仕事ができないのに、プライドだけは高い社員」の対処法について、そんな社員の特徴や、そんな社員を取り巻く人がやってしまうかもしれない悪い対応について書いてきました。

「こういう風にしたらいいよ」という知識は大事なものですが、相手を知り、そして自分のことも知らなければ、その知識はうまく使えないということが何となく見えてきたかと思います。

相手が困ったちゃんであればあるほど、相手をどうにかしないと!という方向に意識が向きますが、そういう相手に接するときこそ自分の状態を整えておくことが大切です。
相手が悪いのにどうして自分の話になっちゃうの!と理不尽な思いを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは「相手を不幸」にしない以上に「自分を不幸」にしないため

困ったちゃんな相手を通して、ぜひ自分を知り、そして知識をうまく使って、自分を幸せにしてくださいね♪


◆共依存についてより詳しい内容はこちらをご覧ください ⇒ こころの知識「共依存」

◆ご紹介した本の詳しい情報はこちらから
すぐ「決めつける」バカ、 まず「受けとめる」知的な人 安達裕哉(著)日本実業出版社

心理セラピー